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子どもは子ども同士

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今日は、ともちゃんが可愛そうだったよ~~・・・と語る母。
先週の土曜日、甥っ子の野球の試合を見に行っての感想でした。
6年生になってから、少年野球部のキャプテンとして日々励んでる??甥っ子のともちゃん。
ポジションはピッチャーです。
先週も試合があったのですが、どうやらボロ負けしたらしい。

ウチの母の話によると、なんだかチーム全体がダラァ~っとしてて、
ちょっとした球でもエラーしたり送球ミスしたり。
打たれるというより、自分ちのエラーで得点されたという感じ。
それでも甥っ子は、(孫としてのひいき目を差し引いても)がんばって投げていたそうです。
普通、チームがあれだけエラーをすると、
ピッチャーもやる気がなくなってダレてしまうだろうに、
今日のともちゃんはがんばってたよ~~、というのが母の感想。
でも、そのがんばってる甥っ子に、監督の声もかからず、応援の声も上がらず・・・
だから「可愛そう」だった、ということらしいです。

試合終了後、本人はすごく悔しかったと思うけど、
まぁその気持ちを胸に秘めて帰宅したんでしょうな。
するとその夕方、同じチームで同学年の男の子3人が、
なんと、アタマをまるめて甥っ子の家に謝りに来たんですって!

自発的と言うよりも、誰かの親の提案だったらしいけど、
それでも3人のうち一人は、今までいくら親が「スポーツするなら頭短くしろ」
と言ってもきかなかった子だということだし、
彼らのことをよく知ってる甥っ子のことだから、きっとその気持ちも理解したんでしょう。
それまでは愚痴の一つも言わなかった甥っ子が、
三つの坊主頭を目の前に、初めて涙をこぼしたらしい。

その後は立ち直って、4人で仲良く遊びに行って、
夜、実家に泊まりにきたときにはケロッとしてました。

こういう子どもたちのやり取りを見ていると、
子どもはやっぱり子ども同士で色々と体験するんだよなぁ・・・と実感します。
出来事を一つ一つの積み重ねることが、子どもの経験となり、
その経験が彼らの心を作っていく。
私たちだって、そうやって年を重ねてきたわけです。
経験豊富な大人は、子どもに失敗や嫌な思いをさせないように、
アレをするな、こうしろ、と口うるさく言いますが、
経験してないことから情動を形成することは出来ないと思います。
自分が行動することによって自分に湧き上がる感情、
相手の反応、その反応を受けて更に湧き上がる感情、
そういったものを我々の脳は記憶し、次に同じような状況に陥ったときに、
その感情を再現することが出来る、
つまり、「自分と同じ立場になった相手の気持ちをシミュレーションできる」わけです。
そうして、私たちはコミュニケーション能力を鍛えていく。

しかも、経験値を上げるのに必要なのは、同じ世代の子どもたちと関わることだと思います。
世代が同じだと、経験値も似たり寄ったりだと考えることが出来ます。
だから、対等に出来事を体験できるわけです。
大人と関われば体験する前に教えてもらえるから考えなくていいし、
自分より世代の若い子どもだと、逆に教える立場だから支配できるし。
そういう意味で、甥っ子が所属しているようなスポーツチームは、
経験を積み重ねるのにとてもいい場ですよね。

私たちが子どものころは、スポ少なんかに入らなくても、フツーにこういう経験が出来ましたね。
近所にも子どもはたくさんいたし、放課後、いくらでも学校に残って遊べたし。塾もなかった(笑)
兄弟姉妹が多いこともプラスになります。
遊ぶのに忙しい子どもたちは、インターネットで誰かをつるし上げてるヒマもない。

子どもが子ども同士で、大人の介入なく遊ぶ。
こんなに簡単なことが出来ない現代社会です。
コミュニケーション不全のおおもとは、そこにあるのかもしれません。





学校やインターネットでの陰湿ないじめ問題や、引きこもり、ニートの問題を受けて、
教育関係者が一生懸命子どもたちのコミュニケーション能力を鍛えようと策を練っています。
例えば、医学部の学生たちに、幼稚園での実習をさせるとか。
中学生に、赤ちゃんを抱っこさせてみるとか。
それはそれで一つの経験としてはいいと思うんですが、
あまり自然ではないですよね。
そもそも、家の中に常に幼児がいたり、赤ん坊がいたりすることってないわけで。
それよりも、子どもを同じ世代の子どもと普通に遊ばせる方が、
人格形成には一番重要だと思います。
そこが欠けてるから他人を思いやれないような状況に陥るのであって、
後から赤ん坊と関わらせたってあまり意味がないような。

人間も動物ですから、
赤ん坊や小動物をいたわったり、可愛いと思うのは既に本能の領域です。
(そういう本能がなければ、人間は動物として存在できないでしょう)
子供を産める年齢に達した人間が、赤ん坊を見て心が温かくなるのはいわば当然。
当然のことに時間を割くよりは、
その時間で、子どもを勝手に遊ばせてやったほうがいいのでは??と思います。
遊びながら社会を学んでいくのは、人間でも他の動物でも一緒ですよね。

あまりにも、大人の価値観でおしつけのコミュニケーション教育が横行するのを、
密かに憂いてるワタクシです。
「子どもは子ども同士」という歌詞が「妖怪人間ベム」にありますが、
あの時代の大人は、よくわかってたなぁ~~・・・とつくづく思います(笑)
by nasuka99 | 2007-10-11 10:11 | think