「世界征服」は可能か?

いやぁ~面白い本でした!

「世界征服」は可能か? (岡田斗司夫 著 ちくまプリマー新書 760円)

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著者は、「オタク学」で有名な岡田さん。ガイナックスの設立者でもあります。
さすがオタク界の頂点に立つ人だけあって、
話はまず、アニメや特撮に登場する「悪人」「悪の組織」の分析から始まります。

著者の疑問は、

「世界征服って、どんなイイコトがあるの??」

なわけですが、いやぁ~、コレって私も常々考えてしまうことなんですよね。
今まで色んな悪役とか悪の組織とか見てきたけど、
どう考えても、ストーリーを面白おかしくする舞台回しであるだけで、
現実味を感じませんからねぇ・・・(^_^;)

本にも上がってますが、バビル二世の悪役「ヨミ様」。
この方は著者が分類するところの「独裁者型」の悪役に当たるらしいですが、
独裁者の弱点は
「自分しか信じられない」「自分が一番能力が高い」「自分で何でもやらなければならない
ということのようで、ついには過労で倒れてしまうそうです。
実際、ヨミ様も3度過労で死んでます。
寝ようと思っても、部下がすぐに「ヨミ様、起きてください!!」と呼びに来るんだそうです。

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私はバビル二世の大ファンで、テレビも欠かさず観てたし、
横山光輝の原作本も持ってたりするんですが、
確かに、ヨミ様能力使い果たしてミイラみたいに枯れてしまって可愛そうでした(^_^;)
一体、彼はそこまでして何故世界征服がしたかったんだろうか??と。

世界征服の目的が「人間の皆殺し」というのはめったにないパターンらしいですが、
著者が本の中で再々引用している「死ね死ね団」がこのタイプらしいです。
まぁ、皆殺しにしてしまったら征服の醍醐味も味わえないわけで、
それまでの過程で楽しむしかないですもんねぇ(笑)
死ね死ね団の歌を聴くと彼らの野望がよくわかりますが、
しかし、ものすごい歌ですね。
よくこんなの流して放送禁止になりませんでしたね。
日本人の皆殺しと言うのが死ね死ね団の目的だったようですが、
部下ががんばって毎日1ダース殺しても、
毎日生まれる日本人が5千人。
「これでは、いつまでたっても目的が達成できないではないかっっ!!」
と、団長のミスターKは嘆いてたそうです(笑)

突っ込みどころ満載の悪役たちの分析もしごく面白いんですが、
大変感銘を受けたのが「階級」と「階層」の違いについての分析。
今の世界には、経済上の「階層」はあっても、「階級」はない。
なぜならば、「階級の違い」というのはすなわちそこで消費される「文化の違い」であり、
階級の違いはコミュニケーションと文化の断絶を表していたからだ、というくだりです。
つまり、階級が違うと、そこには超えてはならない文化の違いがあった。
イギリスのパブで貴族は飲んではいけない、貴族が行くべきなのはサルーンだ、
というような差異。
しかし、現代ではお金さえ出せば何でも手に入る。
所得の差で階層はあっても、決して越えられないものではない。
しかし、「階級」は越えてはならない壁であり、
だからこそ、支配する面白みがあったのだ、という理屈です。

う~みゅ・・・一理ありますな。
「世界征服」をマジメに考えるだけで、世の中の構造が見えちゃいます、という本。
読めば世界観が変わるかも・・・(笑)
是非一度手にとってみて下さい。おススメです。
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by nasuka99 | 2007-06-29 17:53 | books