だます心だまされる心
そんな話も交えて、だましだまされる心の謎を論理的に説明してくれるこちらの本。著者は、自ら手品を演じて学生を翻弄する(笑)大学の教授さんです。
だます心だまされる心(新書) 安斎 育郎 (著) (岩波書店 735円)
手品から疑似科学、オカルト、カルト、そして「振り込め詐欺」まで幅広く俎上に載せています。
特に、妖精(のインチキ写真)を信じたコナン・ドイル、実は黄熱病の病原菌を発見していなかった野口英世など、「科学者も錯誤する」お話はなかなか読み応えあり。騙しのテクニックというのは、人間の脳が陥りやすい「思い込み」をうまく利用しているんですね。
人間の脳は、物事を単純化することが得意だそうです。つまり、手間を省くのです。そのためには、「パターン化する」という作業が一番です。一度パターンを覚えたら、次もそのパターンでコトが起こると思い込んでしまう。そして、一度覚えたパターンからはなかなか離れようとしない。これが、職人技のように経験としておおいに役立つこともあれば、新しいものを取り入れたときに役に立たなくなってしまったり、プラスにもマイナスにも働きます。
そして、全く新しい事態に遭遇したときには、パターンがないので「真っ白」に固まってしまう。だから、避難訓練が必要になるのですよね。実際体験していないことでも、シミュレーションや訓練でパターンを覚えておくのはとても有効なことなのです。
この本の中では、「自分は騙されない」と「思い込んでる」その時点から、もうあなたは騙されているのだ、と書いてあります。高をくくるのはまずいんですね(^_^;)大きな被害を出している「振り込め詐欺」も、まずありえない事態でターゲットのアタマを「真っ白」にして思考回路を奪い、自分の身内がタイヘンなことをやらかしてしまった!という「思い込み」を利用してお金を巻き上げるのです。ヤクザや弁護士、警官などの「登場人物」について、私たちはテレビドラマで「パターン」を覚えさせられています。ドラマ自体が架空のもので、ストーリーがあり得ないにもかかわらず、私たちはあのパターンがホンモノだと思い込んでいるのです。だから、詐欺師たちはテレビの通りに演じればよい。
いかに、普段から批判的な視点を持つこと、そのために「事実」を知っておくことが大切かということが、この本では語られています。色んな例を読んでるだけでも楽しいので、興味があったら是非ご一読ください。
soleilさんのこのエントリ、個人的に本当に腹が立ちましたし、これで受けた心の傷や、また実際に被害にあわれている方が大勢いるかと思うと、いつか絶対反撃してやりたい!!!と思ったりしますよね>振り込め詐欺
こちらのサイトで、実際に犯人からかかってきた電話を聴くことが出来ます。結構フツーっぽいのが意外でした。是非聴いてみて、防災訓練しておいてください。知識は力ですからね~~。